メリッサ・マコーミック
日本美術文化学教授
ハーバードカレッジ教授
1990年、ミシガン大学にて美術史と日本語・日本文学の二重専攻で学士号を取得。2000年、プリンストン大学にて博士号を取得(美術・考古学)。 1996〜1998年、学習院大学にて博士論文執筆のため研究を行う。ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー・オブ・アートのCenter for Advanced Studies in the Visual Artsにて研究生として1年間在籍。その後、コロンビア大学にて渥美日本美術助教授(2000−2005年)として教鞭をとり、2005年にハーバード大学准教授として就任。
美術史の研究者として、特に美術と文学の相互的関係に注目しつつ、絵画形式と社会史の関係性や美術作品制作のコンテクストを学際的なアプローチを用いて研究する。著書の『Tosa Mitsunobu and the Small Scroll in Medieval Japan』 (2009年) では、想像される15世紀後半〜16世紀前半の読者・鑑賞者の視点を考察する際 、テクスト・絵画分析と歴史的な分析を組み合わせ、作品の規模・形態と絵画的表現の関係、また文学のジャンルについて論じている 。また、白描絵巻の伝統とそれを取り巻く女性読者、執筆家、絵師のコミュニティについて、これまで数点の論文を執筆。また、本の出版も進めている。
『源氏物語』への造詣が深く、同作品の美術作品としての歴史、注文者、また女性読者、注釈者、様々な芸術家による受容に関する論文は10点以上にのぼる。ハーバード美術館所蔵の『源氏物語画帖』の研究では、その制作年(1510年)と注文主を明らかにし、2008年のNHKのドキュメンタリーで取り上げられられた。この研究については、Princeton University Pressより著書を出版予定。その他、仏教書としての源氏物語、紫式部のポートレートの意味と役割 、源氏物語画帖の国際的な展覧会の開催等、多数のプロジェクトを進めている 。また、大学では「源氏物語:言葉とビジュアル」と題したセミナーを定期的に設け、学生に源氏物語を通読させ、12世紀〜21世紀までの同作品のテクストとビジュアルの解釈書を精読させる。
その他、日本芸術・建築の概要(HAA18k)、絵画的ナラティブ(漫画・アニメを含む)を扱った1回生向けのフレッシュマンセミナー、日本美術におけるジェンダーとセクシュアリティに関するセミナー、大学院生を対象の美術館学セミナー、中世絵巻の精読と翻訳(くずし字読解を含む)や近現代の日本美術等、多岐にわたるテーマで講義を行う。2014年、ハーバード大学人文科学部門の教授に贈られる最も栄誉ある賞であるHarvard College Professorに選ばれる。